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行こか戻ろかイギリス生活

行こか戻ろかイギリス生活

Ballet National de Espana

(2005年2月25日)

へレスフラメンコフェスティバル初日の今日、フェスティバル期間中メインのパフォーマンスが行われるVillamarta劇場では、Ballet National de Espana(スペイン国立舞踊団)のショーが行われた。これから10日間にわたるフラメンコの宴の幕が切って落とされた訳である。

最初、私は名前からいって、これはクラシックバレエの舞踊団だと思い込んでいて、「フラメンコを見にきたんだから、バレエなんか見ないでタブラオに行こう」と同行の友人に言い放ってあきれられた。そう、これは紛れもなくフラメンコの舞台なのだ。

振り付けはJavier Lattore。ショーの内容はクラッシックバレエの幻影に悩まされ、フラメンコを踊りたくても踊れないという苦悩を現したストーリー。(と思う)。音楽はフラメンコというよりクラシックだったが、衣装のセンスも良く、とにかく集団での動きの美しさを追求したステージだった。

群舞でしか生きられない生き物の私は、練習生生活の年数を重ねる毎に群舞の窮屈さを感じる今日この頃であるが、今日のダンサー達は群舞の美しさを知り抜いた生き物だった。情熱とかパッション(あ、同じか)には一見無縁のようであるが、基本に忠実な動きが集団でとても美しい。そしてあのターン。テクニックの有無を見せつけるバロメーターはターンである、と、ターンができない私はひがみ半分にいつも思うのだが、彼らは軽く3回転はしていた。

彼らがタブラオで踊る姿はステージからは想像できないが、きっとソロでも充分やっていけるに違いない。同行の友人は観賞用と形容していたが、顔、スタイルはもう抜群。きっと厳しい入団審査を経て、舞踊団内部のやっかみや嫌がらせやいざこざも通り抜け(そんなのないかも知れないが)、今ステージに立っているのだ。と、国立舞踊団物語を頭で勝手に作り上げてしまうほど、各人のものすごい努力が垣間見れるパフォーマンスだった。

前半の最後に出てきたアレグリアスは秀逸。名前はわからないが、あの裾をゾロゾロ引きずるドレスを見事にさばいていた。それから、普通のフラメンコのギタリストとカンタオーラが、舞踊団にあわせて舞台用のきちんとした衣装を着せられていたのが何だか笑えた。公演の中ほどで、バレエ代表のソロダンサーとフラメンコ代表のソロダンサーが二人並んで踊るなど、結構笑える場面もあり楽しかった。

最後のアンコールの手拍子はイギリスなどで聞く単調な拍手の連続ではなく、パルマ。足も3拍子ごとに自然に入るし、さすがフラメンコのお膝元、このときばかりはフラメンコで足と手を同時に打ち鳴らす練習をしていて本当に良かったと思った。


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